とうふのあしあと

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すごい漫画を読みました。市川春子「宝石の国」

 

市川春子さんの「宝石の国」を最近読みまして、これはすごいぞと思いましたので、感想を書き散らしたいと思います。

正直一回読んだだけでは理解しきれない部分も多かったので、2週しました。

しかしそれでも「分かったぞ」感はなく。

そんな理解度なのに、終盤ぼろぼろ泣いてしまうのはなぜなのでしょうか…

 

以下ネタバレ有です。

 

フォスフォフィライト

 

フォスぅ~!!!

 

もうなんなんだ、フォス。ああ、フォス。フォス。フォスぅ…

 

最終回の最後のセリフが「あそぼ!」は、もはや救いだよね。

最後の最後にも欠けてしまって、我々人間の肉眼では捉えられない大きさになったけれども、

「軽くなったね」で受け入れられる優しい世界…

もう本当にいろいろあったけども、最終的にフォスがそんな優しい世界にたどり着いて、あたしゃ嬉しいよ…

兄機は「楽園」と言っていたが、ほんとだね。

そうだよね、あそぼう。何にも考えず、思いっきりあそぼうよ、フォス…!

 

硬度が高くないという点において、仲間内から蔑ろしされて、

戦えもしない、不器用で任せられる仕事はない、ドジを踏む。元気だけはやたらある。

役に立てていないということを、明確に宝石たちから責め立てられるなんてことはないんだけどさ、自分の中で思うんだよね。わかるよフォス…

その中でもがいて、もがいて、もがいて、

その過程でフォスは変わっていって(比喩表現ではなく、ガチのマジで物理的に!そんな主人公いる!?)

それすらもエクメア達の思惑通りってのが、ほんとマジでなんなんだ…

フォスに巻き起こる出来事が!つらすぎて!もう!なんなんですか!市川先生ェ!

 

終盤、惑星が終わりを迎えようとして、フォスも終わりを迎えようとして、

その瞬間の一連の描写がすごいと思った。段々と「フォス」に戻っていく…

欠けた分記憶は失われているとはいえ、あの姿になってもフォスはフォスなんだね。

そんな死に際に思うのが「先生ほめてくれるかな」なのがもう…

フォスの根源ってここなんだよね。とっても優しい。

そう、優しいんだよな。フォスって。

「橋を燃やして」の件も、律儀に惑星の滅亡に立ち会っちゃう。

そんなの関係ね~!で、兄機と一緒に逃げてよ~って、人間の私は思ったりしちゃう。

 

兄機

 

えーん~~兄機ぃ~~~!!

 

シンプルに「いいヤツ」なのよ…ミラク陽キャ…光の存在…

「弟は無口でカタブツ」みたいな発言笑った。それは確かにそうw

確証はないですが、フォスのためにフォスを思って泣いてくれたのって、兄機だけなんじゃないか…?

まっくろくろすけみたいなナリで、小さな目に涙いっぱいためてるの…かわいすぎ。

兄機は兄機のプレッシャーというか重圧というか、フォスや月人サイドに託されたものがあり。ママへの思いもあり。

お疲れさまでした。安らかに…

 

宝石たち

基本みんなかわい~~ね。

線が細くて美形揃いで、「耽美」って言葉がピッタリ。

宝石達が冬眠する描写ほんとに好き。白くてふわふわのお洋服着て。かわいい。

 

しかしその分、フォスが月に渡ってからの、フォス側と宝石達の全面戦争が…ほんとツライ。

共同生活からの戦いの描写は、FE風化雪月を思い出してしまいました。

シンシャとのやり取り、あまりにも切なすぎるだろ…

 

なんだろう、フォス側も宝石側も、もっと対話できなかったのかなって思っちゃったり。

お互いに思い込みで突っ走りすぎじゃないか?

「こう考えて、だからこうしようと思うんだ」って互いに伝えてたら、もっと違う結末があったのかな?とも思ったけど…

いや、どうなんだろう…分からない…

ま~あ、そんな簡単にできたら苦労せんわい!って感じか…

 

とはいえ。

読者としては、どうしても主人公フォスに感情移入しがちですが、

他の宝石たちから見たときに、フォスの行動ってどう映ったんだろうか、って思う。

初期の描写を見るに、フォスって「嫌われてる」までいかなくても、なんとなく集団に馴染めていないというか、集団におけるお荷物感があるというか…

あんまりこういう言い方はしたくないけど…カースト上位ではない感じで…トラブルメーカーでもあり…

そんな奴が「みんなのため」とか言って、月人に肩入れするともとれるような言動をしたりして、

それは宝石たちも「なにいってんだこいつ」ってなっても仕方ないというか、受け入れるの難しいって思っちゃうのかな、って気持ちもある…

 

しかし、月に渡ってからの宝石たちの自由奔放っぷりに笑っちゃった。

誰もフォスのこと何にも気にも留めてないじゃないですかー!やだー!

ダイヤがアイドル的存在になってるのもいいし、アメシスト(エイティーフォー)の研究者ビジュめっちゃ好きかわいい。

でもイエローおにいさまだけが順応できてなくて、月人だと思い込んで飛び降りちゃったりするシーン、心臓がキュッってなった

 

エクメアなんなんだマジで

終盤。脱出装置のようなものを「月人たちが用意してくれた」的なことを兄機が言っていたが、果たして本意はどうなのか…?

フォスに祈らせることがエクメアの最終目的だったんじゃと思うけど、それ以降のフォスのことなんて考えていたのかな…?

 

あと、エクメアとカンゴームのカップル、終始とてつもない不快感があるのは何なんだ…

なんか、急に、生々しすぎるのよ…

 

良い作品だ…

終盤、新生命体の石ころちゃんの「何も見えないし動けないけど、今の自分に満足してるんだ」的な発言、

それを聞いてフォスは衝撃を受けているように見えたが、読んでる私も衝撃を受けた。

足るを知る的なことよね…あーそうだよね…

 

かなり引力のある作品だし、展開が展開だけに、だれかれ構わずお勧めできる漫画ではない気もしますが(笑)

読んでよかったなと思う作品でした。

 

 

★★★

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